ご挨拶
代表理事 牧 寛之
当財団は、メルコグループ創業30周年を記念する社会貢献事業として、メルコグループ創業者である牧誠が、私財を公益に供する形で2007年3月に設立されました。その後、2011年4月に公益財団法人に移行し、日本的経営を世界に広めたいという思いを具現化するべく、世界に通じる管理会計理論の構築を目指す研究者支援のため、研究助成事業と研究成果普及事業を展開してまいりました。
研究助成事業においては、管理会計の研究者の研究活動を支援する研究助成、海外の著名研究者の日本招聘、海外での学会報告や在外研究を行う研究者の海外派遣を支援する国際研究交流助成、そして優れた研究成果を広く世に問う研究書の出版を支援する出版助成の3つの事業を行っております。特に大学院生に向けて、独自のフィールドワーク実践や、海外の先進的な研究に触れる機会を増やすことが可能となる助成を重視しています。
研究成果普及事業においては、管理会計に関する研究論文を公表する研究機関紙『メルコ管理会計研究』の年2回の発刊、国内外の学会等で英語報告された内容を論文に纏めたディスカッションペーパー『Melco Management Accounting Research Discussion Paper Series』の公開、管理会計の啓蒙・普及を目指した講演会やセミナーの開催などを幅広く取り組んでいます。
設立からこれまでの間、当財団では「日本の管理会計を世界へ」と行動指針を定め、経営学の学問分野の一つである管理会計学に焦点をあてて事業を行ってまいりました。しかし昨今では、わが国の産業構造は大きな転換の時に入り、新しい構造の模索がなされております。また、その経営の仕組みも、産業構造の変化に呼応して大きな変化が進んでいると考えられます。同様に、管理会計やその周辺領域の研究においても、大きな変革の時期が到来していると考えております。
当財団は、この大きな転換期を足掛かりに、これまでの支援を踏襲しながら、「日本的経営を世界へ」の理念のもとで、利他的な経営の哲学や思想を持つ“日本的経営” の更なる探求をすすめていただける研究者の皆様への支援を行ってまいります。特に、産学連携をはじめとする、実業界が日本的経営を専門家の研究者の皆様から吸収する機会や環境を作っていくことも視野に入れ、国内外にインパクトが残せる研究に対する助成を拡げてまいります。
皆様におかれましては、財団の運営に何卒ご支援ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
2019年12月
公益財団法人牧誠財団
代表理事 牧 寛之